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【命をいただく】肉を食べる、ということ
- 03_自由研究,社会
兵庫県の理科実験教室、キッズアース播磨町校です。
作者の坂本さんは、食肉センターで働いてらっしゃった実体験から、これに関する講演会も行われており、それを絵本にしたそうです。
そして、こちらの本も外せないと思います。
小学校で豚を飼い、その命についての判断を考えてもらう、というのは、実践の授業としてとても濃いものではあります。
また、「ぶたにく」という作品についても、外山さんのサイトで紹介されていました。
「縁」という言葉があります。
今回は、「縁」あって、牛肉を通じて「命を頂く」ことについて考えさせられました。
【「自然と暮らす」という生き方】
和歌山県那智勝浦町に「色川」という地区があります。
(Google地図の下の方、「文」のマークが色川小学校)
ここに、東京大学環境三四郎の後輩である外山さんが住んでいます。
(写真は本人FBより/手描き地図は「ふるさと色川/田舎暮らし応援サイト (wakayama-irokawa.com)」より)
外山さんは、研究者を経て、この色川に居を移し、自然農法をはじめとした「環境に優しい」暮らしをしている実践者で、色川の方々と共に、自給自足に近い形での生活を営んでいらっしゃいます。
環境三四郎は、環境サークルとして30年近い歴史があり、民間企業はもちろん、大学の先生や、省庁や地方自治体で活躍している人材も多数輩出しているのですが、研究者の立場を経て、実践者として第一線に立っている、というのは、なかなか際立った存在です。
そんな外山家の皆さんが、現在取り組んでらっしゃるのが「牛耕」。
昭和30年代に入り、トラクターなどが普及するまで、日本の農村では、牛を使った「田おこし」や「代掻き」が行われていました。
(岩手県農業研究センター「家畜を利用した農作業」より)
この農法を行うためには、道具の準備だけでなく、牛の訓練も子牛の頃からしなければならないそうです。
そこでやってきた母牛から2018年9月に生まれたのが「茶々」でした。
しかし、「茶々」は牡牛であり、牛耕には牝牛の方が扱いやすい、ということで、2019年の5月に「茶々」は子牛市場に出荷され、島根の肥育業者のもとへと旅立ったのです。
その後、2019年9月には「ヨモギ」という牝牛が産まれ、現在は牛耕の訓練中とのことです。
さて、時が経って、2021年2月、外山さんから連絡を頂きました。
兵庫県にあるスーパーで、「茶々」の肉が販売されているので、手に入れることは出来ないか、という相談でした。
【牛肉の名前】
兵庫県というのは、南に瀬戸内海に浮かぶ淡路島を持ち、北は日本海に面した豊岡まで広がる県です。
しかし、指定されたスーパーは、キッズアース播磨町校から車で10分とかからない、ハローズ魚住店でした。
環境三四郎のメンバーには、兵庫県出身者も少なからずいますが、このお店がすぐに分かるのは、2人3人くらいでしょう。
これもまた「縁」だと思いながら、さっそくお店に伺うことにしました。
国産の牛肉には、「個体識別番号」というものが振られており、パックにもこの番号が書かれています。
この番号によって、どこで育てられたか等を調べることが出来ます。
興味があれば、買った牛肉のパックに書かれている番号をこのサイトで検索して、出生地や肥育地を調べてみてはいかがでしょうか。
外山さんからお伺いした番号は、「1346310051」。
この番号が書いてあれば、それが「茶々」のお肉であると言えるわけです。
精肉コーナーに行くと、様々な形で「1346310051」の番号の入った商品、すなわち「茶々」のお肉が売られていました。
外山さんから精肉の担当者に話してある、ということで、担当の方ともお会いしてお話をお伺いしました。
スーパーには、このような大きな塊で納入され、それをスーパーの裏で切り分け、パック詰めして店頭に並べるとのことでした。
とても親切な方で、快く写真撮影にも応じて頂きました。
この前工程、生きている「牛」を「食肉」すなわち「牛肉」に加工するのが食肉センターです。
加古川食肉センターは見学も受け入れているので、いつか行かねばとは思っているのですが、まだ行けていません。
こちらでの見学の様子を書かれたページがありますので、参考にして頂ければと思います。
→「いただきますを探して」
我が家の分も購入し、頂くことにしました。
肉質も柔らかく、脂身もしつこくなくて上品で、それはそれは美味しい牛肉でした。
同時に、とても「命」について考えさせられる「牛肉」でもありました。
今までに、たくさんの牛肉を食べてきました。
焼肉屋さんにも何度も行っていますし、神戸ビーフや加古川和牛など、ブランド牛も頂いたことがあります。
今まで、その美味しさについて語ることはあっても、そして、その命に感謝しているつもりであっても、まだ足りてなかった「何か」があったのだな、と気づかされました。
「茶々」と名付けられた子牛が、母牛のもとを離れ、肥育され、加工され、流通され、購買され、料理され、食卓にまで届く、それまでに何とたくさんの人の手間暇と愛情がかけられてきたことか。
一方で、我々は、牛肉だけでなく、豚肉であれ、鶏肉であれ、魚であれ、植物であっても、「命」であったものを栄養として摂取して成長し、生きているわけです。
軽々に言葉にするのは難しいのですが、時には、こういった「命」と向き合うことで、その「何か」を感じられる機会としたいと思います。
【食と「命」について考える】
食と「命」について描かれた本はたくさんあります。
私自身が読み返したのはこちら。
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題名こそ「肉を食う」ですが、食肉のことよりも、ペットについてやアニマルセラピーについての話がメインになっています。
それでも、動物と人間の関係について、様々な視点を入れながら書かれていて、非常に面白い本です。
そして、外山さんのサイトで勧められていたのがこの絵本。
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講演会もいつか聞いてみたいと思いました。
そして、こちらの本も外せないと思います。
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藤子・F・不二雄先生の短編作品で、人と牛が入れ替わった星に着陸した主人公が...という話なのですが、読む人によっては怖さを感じるに違いない作品になっています。
それでも、こんなに「命」を頂くということについて考えさせられる作品はそうないと言えると思います。
下の作品は『ブタがいた教室』の題名で映画化もされました。
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また、「ぶたにく」という作品についても、外山さんのサイトで紹介されていました。
リンクだけで恐縮ですが。
「生きる」ということは、多かれ少なかれ、他の「命」を奪うという行為です。
そのことについて、日頃から意識することはなくても、折に触れて考えてみてはいかがでしょうか。
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